玉岡かおる
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大きいことはいいことだ!?
佐用郡歯科医師会広報誌『8020だより』2003年新年号
 


今、久々の長編書き下ろしを終えたところで、花火でも上げたいくらいに高揚してます。
これは来年一月に新潮社から上梓する『天涯の船』という作品で、なんと、千五百枚、上下巻二冊組という大作。
きっと読者の方も、読むだけでもたいへんなのに、と驚かれると思います。ついでに言えば二冊も買わなきゃならないなんて、お金もたいへん、と思われるでしょう。
もちろん書く方はもっとたいへんで、『水晶婚』(講談社)から一年半ぶり、長編書き下ろしでは『をんな紋』(角川書店)以来実に三年ぶりの仕事ですから、この作品にどれだけ時間を費やしたかはおわかりでしょう。
この枚数、書き終えた後の編集者もまたたいへんで、まず読むだけに数週間かかるので、各部署のデスクを回っていけば、二ヵ月くらいはあっというまにたってしまいます。
ふだんの原稿はEメールを使って送信するので播磨と東京に離れていてもらくらくでしたが、いざ校閲部から朱が入れられてきたゲラでの作業はフェイス・トゥー・フェイス、編集者と当該箇所を指さしながらのやりとりになります。東京までわざわざ出かけていくわけですが、千五百枚のゲラの重いこと重いこと。新幹線を下りると編集者が待っていて、「ごくろうさま!」とゲラの入った袋を受け取ってねぎらってくれるのは、ゲラが重かったことになのか原稿が長かったことになのか。
とにかく大作というのは重くて長いのです。
いえいえ、重さや長さだけではありません。中身だってずっしり濃いのが大作です。
『天涯の船』は、神戸の造船王と呼ばれた男が、世界一の名画コレクションを築く夢を見て、それをささえた女とともに、一生をかけて夢と愛を追う物語です。動乱の第一次世界大戦前後の日本とヨーロッパを舞台にし、スケールもめちゃめちゃ大きいのが特徴。
ちかごろの私は“テレビに出ている人”という受け止められ方の方が多くなってしまったのですが、さて、この大作の反響やいかに。
大きすぎて歯がたたない、などと言わず、骨のある読書人よ、わが作品へ来たるべし。