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映画「タイタニック」の大ヒットは記録的だったが、世界一周旅行に臨む豪華客船といえば、私も一度だけ、神戸港で実物を見たことがある。
たしかポートピア博の翌年あたりだったと思う。税関に勤める友人に誘われて、中突堤に停泊中の外国船に入って見学させてもらったのだ。
マキシム・ゴーリキー号という、当時ソ連と呼ばれていた国の船だった。ドイツを始め、ヨーロッパの裕福な人々をターゲットに就航していた船だけに、社会主義の威信をかけて造られたのだろう。その大きさ、内装の豪華さは、タイタニックもかくやと思わせ、見るものすべてがため息の対象だったのを思い出す。
のちに空前の円高やバブルを経て、金満ニッポンと世界に認識されるようになった日本人。少々の豪華さにはもう驚かないが、やっぱり一年以上を旅行に費やす贅沢はいまだ身につかない。欧米レベルにはまだまだ差があると、またため息である。
神戸港に来ると、そんなふうに世界枠でものを考えている自分に気づく。
ふだん自分たちが暮らしている狭い陸地の領土ではなく、この海の続きに存在する異国のことがはっきり意識されるからだろう。
しかし、陸からではなく、海から見た神戸港はさらに壮観だ。
かつて「山、海へ行く」と謳われた神戸の港には、日本で初めてのコンテナターミナルが造られた。だから、人が担いて運べる大きさの荷物をちまちま陸揚げしたり船積みしたり、という往年の港湾のイメージはここにはない。しかも、水深15メートルという大バースも用意されており、ますます巨大化する船舶やコンテナという時代の流れを、どこより早く読んでいた。
潮風に吹かれながら、堂々たる姿で停泊中の船のボディーの国名を眺めてみる。中国、シンガポール、マレーシア。この港から日本はアジアに繋がっている。
神戸港にやってくると、いつも少しだけグローバルな気分になれる。そして自分がどこか大きくなったような気がしてくる。 |