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樹齢500年を誇る天然記念物物の古木から、去年できたばかりの桜づつみのランドマーク、近所の公園にいたるまで。この季節になると、細長い日本列島は南から順に桜がほころびていき、花の色あいで壮大なグラデーションが描かれる。
たまたまこの時期に外国からのお客があると、わが家でも「ワンダフル!」の褒め言葉を聞きたいばかりに、せっせと場所を選び、シートとお弁当を用意して出掛けていく。そして「ハナミ?何ですか、それ。ショー?それともフェステバル?」尋ねられていつも説明に困るのだ。彼らの語彙の中には"ハナミ"にぴったり当てはまる言葉がない。
もともとは、平安時代、貴族たちの間でひろまった優雅な宴であるらしいから、フェステバルと訳していけないことはない。お弁当を広げ、酒を飲み、歌を楽しんで歓談するという点では、ピクニックとも言えるかもしれない。
しかしやっぱり、花を愛し鑑賞するという行為抜きには考えられないのが日本人だ。
ハナミが始まった平安の頃、それまでは中国風の文化の影響を受けていたため、花の中での一番人気は梅だった。それが、日本独特の文化がつくられていくに従い、花は桜、ということになっていく。すべての花の中から桜だけをめでるというのは、自分たちが日本人であることを確認するイベントでもあるだろう。
神戸にも桜の名所は数々ある。
なんといってもその特徴は、海から山へ隆起する、その地形どおりの、桜色の見事なグラデーションだ。まさに、木花開耶姫の吐息によって、平地から山頂へと吹き上げられるかのような。
ちょうど中間地点の町の上に立っていると、自分が桜の構図に取り込まれているのがよくわかる。桜は、いくら人が植えたものでもクローン桜でも、大自然が見せてくれる壮大なショーだと言いたくなる。神戸は、町一個が桜の名所なのである。
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