玉岡かおる
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私と岡田山 キャンパスのメッセージ
水とくらし
 

 神戸女学院の思い出は、キャンパスぬきには始まらない。それも、北寮、新寮での生活により、キャンパス内に住んだ縁が、いっそう私の思い出を色濃くする。
 寄宿舎生活については拙著『恋をするには遅すぎない』(角川文庫)に著したのでそちらに譲るが、美しい菱形の洋館で暮らした時間のすべては、今ではどうやっても得ることのできない貴重なものだ。
 思うに、我々日本人は、永く範としてきた儒教の影響もあって、学び舎という箱モノに対して贅沢をしなかった。ボロは着れども心の錦、よき師よき志があれば、たとえ松の樹の下であっても立派な学校、という精神論のたまものである。だが、明治の文明開化は、すぐれた欧米の学問が美しくゆとりあるキャンパスから生み出された事実を教えた。
 わが神戸女学院はまさにそんな時代、欧米の文化がもっとも輝いて日本の扉を開いた時期に創られた。そのすみずみに、当時の熱い息吹が生きているのは当然だろう。この同じ場所に立つことは、当時のたぎるようなメッセージをも共有することだ。母校を訪れ、校舎を仰ぐたび、背筋が伸びる気がするのは、きっとそのせいだろうと思っている。

http://lib.kobe-c.ac.jp/veritas24.html#tamaoka