夢をつむぐ魔法の小部屋


神戸新聞夕刊2001年8月掲載・『私の仕事場』撮影/冨居雅人


「やっぱり、これでないと」。イメージを形にするのは、一台の古びたワープロだ。初めての印税で手に入れた。キータッチの手ごたえも、小ぶりな画面も、なにもかも気に入っている。壊れる度に買い直し、いま三台目。

本、本、雑誌、お気に入りのCD、「ベルばら」のポスター、子どもたちの写真・・・。乱雑に仕事部屋を占拠するすべてが創作意欲をかき立てる。「最初の一行が肝心。乗ってくると、キャラクターが勝手に動き出す」。いくつもの人生、いくつもの時間を生きる、作家の喜びと苦しみ。

書きたいものはまだたくさん。「その都度代表作と呼べる作品を」。魔法の小部屋で、気合いを入れ直し、画面に向かう。