『帆神(ほしん)』

    - 北前船を馳せた男・工楽松右衛門 -

2021年8月26日、新刊『帆神』が、新潮社から発売されました。 2,200円  新潮社

帆神 - 北前船を馳せた男・工楽松右衛門 -

「夢の帆」は俺が作る――。江戸海運に革命を起こした男の堂々たる航跡! 播州高砂の漁師から身を起こし、豪胆な船乗りとして名を揚げ、時代を先取りする海商となった松右衛門。やがて千石船の弱点だった帆の改良に自ら取り組み、苦難の末に画期的な「松右衛門帆」を完成させて、江戸海運に一大革命をもたらすこととなる。あの高田屋嘉兵衛が憧れた、知られざる快男児を活写する長編歴史小説。

 

 

単行本: 446ページ
出版社: 新潮社 (2021/8/26)
言語 日本語
ISBN-10: 4103737174
ISBN-13: 978-4103737179
発売日: 2021/8/26

amazonで購入

 

 

読者の皆さまから

■アートディレクター・編集者のM・A さん(男性)

玉岡かおる「帆神(ほしん)」を読了。
久々に素晴らしい長編小説を堪能した。
すごく面白い小説なのに、自分でも歯がゆいほど本を読むスピードが落ちている。

高砂に生まれた男が、弁財船に乗り、浪華津へ通い、船を学び、帆を改良して北前船で活躍する。やがて、船だけではなく、港作りやまちづくりにもその手腕を発揮していく一代記だ。
玉岡さんは、非常によく調べておられる。
船のこと、瀬戸内航路のこと、北前船の西廻りと東廻り、工事船の構造などなど、手にとるようにわかる。
面白かったし、ためになった。

数年前から、もっと若かったら、海というか、船に興味をもって取り組めたのだろうにと思っていた。
「帆船」というのはアナログの良さをいっぱい持っている。デジタルにはない「センスの良さ」が必要とされる。
船が岸壁に近づくときにどのように回頭すれば岸につけるかとか、風を読みながら、どの角度で波に当たるかだとかだ。
最新鋭のボートだって、デジタルで制御するよりは人間の感覚で、操船したほうがずっと良い。
そういう感覚が社会から減っている。
それは経済行為においても、社会活動においても、スポーツなどにおいても失われていく感覚なのだ。
そういう感覚の方が人間には合っていると思うのだが、どんどん少なくなっていっている。

山村留学や、海洋少年団の活動がもっと多くなればいいなとも思っている。瀬戸内海周辺からそうう活動が起こって、日本が真っ当な国になればいいなと願っている。ちょうど、腸内フローラが体全体を元気にしてくれるように。

 

■ハンドルネームは 元PSC 男性

わが郷土に、これだけ偉大な「海人」がいたとは!
播州が誇る女流作家でFB友の玉岡かおるさんが、初めて男性を主人公として出来した最新刊「帆神(ほしん)」。
江戸時代の内航海運、舶用工業、港湾・海洋建設、内国貿易、地場産業育成に心血を注いだ高砂出身の工楽松右衛門の一生を描く全力投球の作品です。
私、少しだけ取材協力をさせていただきました。
牛頭天王から宿命を授けられ、血気盛んなボットム君からグレートキャプテン、グレートマーシャント・オーナー、アントレプレナー、マリコンプロデューサー、ガバメントオフィサー(名字帯刀)、褒賞と高みに登っていく。気象海象何するものぞ、知識と勇気に裏うちされた行動は、より良いものを手に入れ提供するため、心血を注ぐシーマン魂が、最初から最後まで貫かれている。クライマックスは、安全性と効率性を両立させた弁財船のメインエンジン「幻の帆」の開発。これは内燃機が一般化するまで長年重宝された。
彼に関わる女性たちの一途さ、儚さ、懸命さは、汗臭い漢の物語に花を添え、色と香りをつけており、男女の恋愛観もそこかしに描かれている。
最終に脱化石燃料、脱炭素の流れを示された。我が舶用工業界が悶絶しているが、幻の機関がきっと産まれてくる!
だって兵庫は全国舶用工業製品の2割以上を生産しており、松右衛門の志はきっと今でも流れていると確信できたからです。
映画化を前提に読んでみると、たいそう面白いですよ。
工楽松右衛門役は、西宮市出身の鈴木亮平で決まり
他、整理して追加していきます。
知らんけど(これ大事!)

 

■須磨麿ビッケ

読んだ
面白かった
私は、友達のヨットで播磨灘をセーリングしたり
しまなみ海道をサイクリングしたこともあり
弥栄丸で瀬戸内を航海するシーンはその景色が目に浮かび感動し、
引き込まれるようにして読みました。
玉岡さんの本はどれも面白いのですが、今回の帆神№1です。
「楽しめ、工夫を。」いい言葉や
絶対、お勧めの一冊です。

 

■K.Aさん(女性・広告代理店勤務)

一週間の船旅。
久々の面白い小説だった。とにかく船の描写が秀逸で、読み急ぎたいのを我慢し、何度もじっくり読み返す。もうこれは船のエンサイクロペディア。あの時代こんな船で行き来していたのかという発見も、命がけの航海の様子も、海運という産業がどれほど江戸時代に重要だったのかも、あらためて川や河のあるところに津ができ湊へと発展したことももう全てが腑に落ちる。そして海路としての瀬戸内海のなんと魅力的なことか。朝鮮使節の船団描写も、兵庫津の賑わいも、水都大阪の繁栄ぶりも、絵のように目に浮かぶ。ところどころで開陳される脱線しすぎないほどよい薀蓄ぶりは、まるで司馬遼太郎のよう。海道をゆく・玉岡バージョン。そういえば「竜馬がゆく」で竜馬がまるで路線バスのように京から兵庫まで船で行き来していたのは、こうした水路を利用したのね。
松右衛門の成長と人生を重ねた章立ても絶妙で物語としてもたいそう読み応えがあった。さらに人としての信念の持ち方、真の成功者に必要な大局的な思想や思考、顧客優先の商売の極意など、松右衛門から学ぶべきものもたくさんある。欲を言えば、章と章のあいだに流れた時間ももっと読みたかったと思うが、それをやると絶対に上下二巻でも足りなくなる。一冊にするためかなり削ったものと推察され、そこが残念でたまらないがしかたない。
地産地消が言われて久しいが、地産地読という言葉が浮かんだ。これ、兵庫県民はもちろん、瀬戸内海沿岸、北前船ルートに住んでいる人は絶対に読むべきだ。そして、当然だが、高田屋嘉兵衛も北風庄右衛門も出てくるので、久しぶりに「菜の花の沖」を読み返したくなった。良書は良書を呼ぶ。
映像化するなら、今だったら松右衛門は鈴木亮平がハマるような気がするなあ。知らんけど。

 

■男性 元新聞記者 Y.K.さん    

いやー、面白い! 凄い人物なのに余り知られていない。私も少ししか知識がなかったし、その後も『菜の花の沖』で改めて再認識していたぐらいだっただけに
『帆神』での活写、素晴らしいのひと言です。特に私の場合、初任地が姫路支局、そして大阪社会部、神戸総局長、編集委員、大学では「大阪学」の講座を担当、住所は日下村ではないけど東大阪市と、関係舞台が多くてページを繰るだけでウキウキ。読み始めてすぐに惣五郎が登場すると、山片蟠桃や! 蟠桃が小説に登場してくれたのは、私にとって初めての発見だったので、以後ワクワクのしどうしでした。新綿番船レースもそう。珍しく男性の主人公でしたが、生き生き惚れ惚れとする松右衛門。四人の女性たちも皆魅力的です。特に「知らんけど」の津祢がいい。「松右衛門帆」のこと、地元の高砂や択捉、函館のことは少しだけ知ってはいたが、小倉や鞆の浦まで彼の手によるものとは知りませんでした。ホンマ、凄い男ですね。多くの人に彼のことを知ってもらいたい。多くの人に『帆神』を読んでいただきたい。心からそう思わせる本でした。特に現在の北方領土の情勢や国家の安全保障を思う時、考えさせられます。また、政治も経済も文化も停滞、技術革新をはじめ、多くの分野で遅れをとり、さらにそのことに気づいていない人が多いように思われる、元気のない日本に、「喝」を入れてくれるでしょう。
 そうそう6月5日、近所の司馬遼太郎記念館を覗くつもりでしたが、急用が入って行けませんでした。ホント、お会いできずに残念です。まだまだコロナは続きます。暑さもぶり返しそうです。杯を交わせる日が早く訪れますように! ご健康とご健筆をお祈りいたします。

 

■元国土交通省技術官僚 M.N.さん  

本編は、主人公である江戸期の海商、工藤松右衛門が、自らの信念と努力、それに主人公を取り巻く人々の支援を得て、革新的な帆布の発明や各地の港湾整備を成し遂げるサクセスストーリーです。
故郷の播州高砂に始まる物語は、少年時代から晩年までの長期にわたりますが、主人公の活躍する舞台と克服すべき課題が、章ごとに一つ一つ明確に整理されているので、ロールプレイングゲームのステージを上っていくような、一種の達成感を、主人公と共有しながら読み進めることができます。また、文章の視点が常に主人公の高さに置かれているので、物語の展開が一層分かりやすく、感情移入しやすいものとなっています。
さらに、難破船の船箪笥に収められた文書の謎解きが、章をまたいで読者の関心を引きつけるトピックとして準備され、物語の展開に奥行きを持たせています。

本編では、高砂で過ごした主人公の青少年期の記憶や知人が、時間を経た後も形を変えて主人公の前に現れます。青少年期の記憶の象徴的な場面が、ひらりと松林から海に舞い落ちる金色の団扇(P62)や、天空と水面の二つの十三夜の月の間に揺れる小舟(P67-69)です。これらは、いずれも、東山魁夷の描く風景画のように、美しく幻想的な情景として描かれています。
他にも、日を背にして絵の断片を持つ女のシルエット(P224)、水中から揺らいで見える小さな果実のような太陽(P270)、雪の中で一輪だけ覗く椿の赤い花(P272)、水平線のあわいから次々に現れる帆船の群れ(P445)など印象的なシーンが多く、こうした絵画的な美しさも本編の大きな魅力となっています。

本篇には、主人公の生涯を支える4人の女性が登場します。播州の木綿産業を興して家業「カネ汐」を立て直した高砂浦の千鶴、自分の産んだ子を主人公の養子とした兵庫津の小浪、試行錯誤の末に「幻の帆」を織り上げた浪華の津弥、それに帆布のはたおりを広めて「御影家のおかみさん」となった出雲崎の八知です。当初、彼女たちの境遇は必ずしも恵まれたものではありませんでした。北風屋で下働きをしていた小浪は自分の居場所が分からないと呟き、津弥は嫉妬で「自分は壊れてしまった」と涙しました。小浪が羨望の眼で眺め、津弥が嫉妬した千鶴も、実は、夫に裏切られ「蔵元は女では務まらん」と誹られていたのです。八知も、夫の暴力と姑の罵倒に耐えかねて婚家から逃げ出していました。
しかし、彼女たちは、帆で日本の海運史を変えるという主人公の夢に加わり、その実現のために力をふり絞りました。そして、松右衛門の帆が日本中に広がっていくにつれて、彼女たちの人生も豊かなものとなっていったのです。まるで「帆神さま」からご利益を授かったかのように。
作者は、彼女たちに主人公以上に温かい視線を注ぎ、それぞれが持っている魅力を丹念に描き分けています。このため、私たち読者も、いつのまにか自分の気持ちが彼女たちに寄り添っていることに気づかされるのです。

本編は、時代を切り開く技術者への応援歌でもあります。
いつの時代でも、海運や建設の現場に関わる人は多数います。しかし「今では誰も、これ以外の型を考えようとするものはいない」(P133)と思考を停止させ、日々、同じことの繰り返しでよしとしている人が大部分です。
そんな中、主人公は、自らの航海の経験から「風が吹けば板のように強く、人が扱うときは羽のように軽い」帆の開発を目指しました。もちろん、こうした取り組みには多くのハードルがあります。まず、研究開発を行う経済的な余裕と、献身的に支えてくれる協力者がなければ、スタートラインに立つことすらできません。そして、仮に試作品の開発に成功しても、次は、生産体制を整えるための投資、安定した原材料の調達ルート、商品の販路開拓などが必要です。主人公は、目指した方向が自らの経験に基づくものであり、さらに、多くの人々の支援や幸運に恵まれていたことで、一つ一つこうしたハードルを乗り越え、大きな夢を実現しました。
私たちの社会は、こうした先人たちの献身的な努力に支えられて、現在まで発展を遂げてきたのです。作者は、これからも、多くの若者が自分の夢に向かって挑戦するよう、期待を込めてエールを送っています。
なお、本編では、航海、造船、築港などの現場の状況が正確に描写されており、膨大な取材や文献調査に基づいた作者の専門技術に対する豊かな知見が伺われます。

 印象深い表現をいくつか。
「公共の事業において万人を納得させることは難しい」(P435)
 まさにその通りです。個人が作る施設であれば、当人が納得しているかぎり、どんなとんでもないものでも問題にはなりません。しかし、関係する人が複数いれば、事業に期待する内容も、不安を感じる理由も、一人一人異なります。すべての関係者の合意を形成することは、公共事業を進める上での、永遠、かつ最大で、しかも解決不可能な難問です。

「たとえ数年後に波に覆われ姿を消していくと知っても、それでも今この刹那、そこに何かを築かずにはいられない」(P446)
本編の掉尾をかざる言葉です。主人公が開発した帆は蒸気船の時代の到来とともに海原から姿を消し、心血を注いで築いた高砂や函館の港に、今、彼の足跡を見出すことは困難です。
ある時代のニーズにあわせて革新的な技術を開発しても、次の時代にはニーズそのものを根本から覆すような変革が起き、開発した技術は退場を余儀なくされます。場合によっては、開発した技術によって当該分野の変革が早まり、結果的に技術の寿命を縮めてしまうことすらあります。
新たな技術開発に取り組むには、開発までに多くのハードルがあるだけでなく、たとえ開発に成功しても、次の世代には乗り越えられるという覚悟が必要ですね。

 

■M.Tさん

この航海をしない人は、必ず後悔します。
海運業、エンジンメーカーや造船所が出資して、映像化すべき作品です。エキストラで出たい!

 

■男性 N.M.さん

本編では、随所でいろんな海の表情が描写されていますが、特に、弥栄丸が兵庫津を出帆する朝の「しなやかに凪」いだ海という言い回しが印象的です。  
少しだれた感じが伴う「おだやかな凪」ではなく、弓を絞ったような、いかにも弾力のある水面が、新鮮な黎明の中に広がっている様がうかびます。(P88)

また、北風屋の台所で、小浪が水主たちの朝鮮通信使の噂話に耳を傾ける場面があります。(P80-81)
朝鮮通信使は徳川将軍の代替わりを寿ぐものなので、本来、皇室に関係はないのですが、作者は、水主に後桜町天皇の即位についても言挙げさせています。さすが「天平のj亭 孝謙称徳」を書いた著者ですね。
孝謙/称徳天皇を最後に、長い間、女性が皇位につくことはありませんでした。しかし、飛鳥時代後期から奈良時代の女帝の記憶が途絶えたわけではなく、実は地下を脈々と流れ続けており、この時代、多分に偶発的な事情によって、明正、後桜町と二人の女帝が現れました。
その後、現在に至るまで女性天皇は出現していませんが、女帝の水脈は決して途絶えていないと、さりげなく、しかし毅然とした主張がなされているように思えました。

 

■M.N.さん

印象に残った表現をあげさせてもらいます。
「この世で、男の力だけで生み出せるものはおそらく少ない」(P349)
 作者の力のこもったフレーズです。作者が割愛した、この後に続く文章を想像してみました。
「にもかかわらず、愚かな男ほど、自分たちが何もかも作り上げてきたと自惚れ、女を一段下に見下そうとする。それは、いつの社会でも、どこの社会でも同じだ。しかし、そんなことがあるはずがない。そう、これを読んでいるおまえ、分かっているのか、馬鹿野郎!」と思わずつぶやいている自分がいました。

 「彼の胸に、かつて味わったことのない思いが満ちた。」(P400)
 普段、侍を歯牙にもかけない主人公でも、面と向かって「お上」が自分を評価してくれれば嬉しいものです。「男は見栄で生きている」ということでしょうし、「根が単純」であるとも言えます。「自分でもあきれるような感慨を胸にお屋敷をでた」と。本編の作者はこうした感情をよく理解し、周りの男どもを上手に操っているのでしょうか。

「自分が織った品がどこの誰に渡るかなど想像もしなかっただろう。それが、津祢によって布の行く先が見えたのだ。老婆はまるで嫁に出す思いで売却を許したに違いない」(P208)
近代になって流通の合理化(分業化)が過度に進み、生産者と消費者が乖離してしまいました。その反省から、近年、消費の現場の情報を生産者に伝える一方、消費者も生産者の顔の見える商品を購入する、という取り組みが脚光をあびています。
生産現場と消費現場の疎通を図ることは、やはり、いつの時代でも、どんなものでも、モノづくりの一番の基本です。

いろいろと考えさせられる作品でした。

 

■地方自治体広報官 女性 N.Yさん

電車の中で読みかけて、新さんお弔いの謡曲高砂に涙。既に引き込まれてます。

八知さんが逝った。

冒頭の数ページ、新三郎のクダリでやられました。めでたいはずの謡曲高砂を朗々と謳う牛頭丸で、さめざめ泣いた。
物語に引き込まれて、先ずは必死で読んだ。読めない漢字は飛ばしてる。�

この一年以上、仕事ばかりでロクに本も読めなかったので貪るように読みました。
また読み直して楽しみます。私の松右衛門はどこに居る!

 

■岸和田市 タラちゃん

この度は松右衛門というすっごいお船に乗せて頂きながら、簡便なメールでの失礼をおゆるしくださいませ。
もう、びっくり致しております。行く先々、出会う人みんなを味方につけてしまう主人公のまわりに、やっぱり千鳥、小浪、津弥、八知、妙喜尼から織機のおシカおばあさん、それに茂世さん……。本当にきらきらと女性が輝いて、あらゆるシーンを堪能させていただきました。

 船の技術的なこと、木、鉄、木綿、織機のこと、また行く先々の土地の地質、地形、古事来歴、気候条件など、公職、教壇、
ご講演ほか超ご多忙に、どう資料調べのお時間を取られるのか、と、感じ入っております。
 楽しめ、工夫を。その人生を。心に残るお言葉を胸に、名残り惜しく静かにお船を降りさせていただきました。すぐにも御礼を、と思いつつも、まだ心地よい波間の揺れに体を任せているようで、あっという間に4,5日が経ってしまいました。
 
さあ、次なるお話はーー、これからもますます楽しみにいたしております。 ありがとうございました。

 

■郷土史研究家 女性 A.Iさん

ご著書読み終えました。帆布の製造に日下村を取り上げていただき、うれしいです。大坂から日下村までは船で六時間かかります。流れに逆行するからです。途中の徳庵に堰があり、ここで潮水をせき止めています。この寝屋川の水を村々の井路に引いて田植えをするので、塩気が入ると田んぼに引けなくなるからです。 だからここまで来たら、舟を人力で堰の上まで上げなければなりません。でも日下村から大坂までは流れに沿うので四時間で行けます。往復10時間です。でも昔の人々とっては何でもなかったようで、平気で行き来しています。綿の生産では当時平野が一大集散地として栄えていました。でも日下村をとりあげていただき、うれしい限りです。工楽松右衛門のことは初めて知りました。なかなかの人物で、読んでいてワクワクしました。石吊り船や、杭打船などの工夫の技術は素晴らしいものですね。日本人が誇りにすべきだと思いました。
どうぞこれからもご指導いただきたく、よろしくお願い申し上げます。

 

■長年の読者K.K.さん

男性が主人公の小説ということで、先生がどう描くのか…とワクワクドキドキで読み始めたのですが、一気に惹き付けられ、どんどん読み進みました。
何より松右衛門のかっこよさ!!
かっこよすぎます!!
でも、それが決して嫌味にはならず、小説だからこそ、これもありと思わせる姿は、先生ならではの筆致によるものと思いました。
私は松右衛門と「銀のみち一条」の雷太が重なりました。
ふたりに共通する、男らしさ、優しさ、賢さ、実行力。
先生の作品の中に出てくる男性としては、私は雷太がナンバーワンなので、雷太と並ぶ魅力の松右衛門はそれだけでもこの作品に惹き込む力となりました。

前半での、松右衛門と千鳥の舟の上でのシーン。
とてもよかったです。
ふたりの関係と、将来大きく羽ばたく未来を目前にした、満ちる前の「今」を象徴させた、とても印象的な十三夜。
立場の違うふたりが、お互いの思いを静かに強く出しあう姿が、映画を観ているようで、先生の小説の醍醐味はこの描き方だ!と思いました。
ふたりの恋は実りませんでしたが、松右衛門にとっても千鳥にとっても、生涯忘れることのできない大切な思い出として残っていくことが、せつなくもあり豊かでもありでした。

男性が主人公であっても、そこに4人の女性を絡めることで、まさに玉岡ワールド全開!
千鳥、津祢、小浪、八知、同性として見てもみんな素敵でした。
つらい結婚生活の中で、自分の役目を受け入れ、子どもと家業を守った千鳥。
年若いながらも、松右衛門帆を作り上げることに大きな力を発揮した活発な津祢。
松右衛門とその家族を支えた頼りがいのある小浪。
松右衛門の仕事を理解し、しっかりと支えた八知。
4人とも自分というものを持ち、賢さを兼ね備えた女性ですね。
女性から見ても、魅力を感じるこの4人は、やはり女性作家である玉岡先生だからこそ描けたものではと思いました。

この4人の中で、私は千鳥が一番好きです。
冷静でありながらも、祇園祭の夜のように自分の思いを出せる千鳥。
自分のいる場所をわきまえた上で、できることを果敢にやっていく千鳥。
橋の上での松右衛門との再会、そのあとの茶屋へ向かうふたりにはドキドキしました。
千鳥が子どものことを思い出して、松右衛門との関係をとどまるシーンでは、突き進んでほしい気持ちもありました。
千鳥なら、松右衛門とそうなったとしても、そこに逃げず、苦しんだ末に力に変えていくことができるのではないか。そんな千鳥を見てみたかったです。
とはいえ、千鳥の地獄を思い、踏みとどまった松右衛門の千鳥への思いの深さ、守るべき子どもの姿を浮かべ、引き返した千鳥。
ふたりとも深い思いがあってこその決断で、心に残るせつないシーンでした。

工楽松右衛門に関しては、この小説で初めて名前や業績を知りました。
帆神に限らず、先生の作品を通して知った歴史がたくさんあります。
小説なので、史実ではない部分も含まると思いますが、小説だからこそ楽しめるということを、帆神を読んで、あらためて感じました。
松右衛門も、記録として残っていない部分がたくさんあるからこそ、先生の筆で、こんなにも心惹かれる姿を見ることができたと思います。

毎回思う事ですが、下調べにどれだけの時間を割いたことかと思い、ひたすら頭が下がります。
そのおかげで読者である私は、とても充実した良い時間を過ごすことができました。
素晴らしい作品をありがとうございました。

 

■雑貨クリエイター M.Uさん

玉岡 かおる先生の小説
いやぁ
久しぶりに恋をした感じよ。
工楽松右衛門に!
優しいし強いし賢いし
読みながら
工楽松右衛門と
雷太(銀のみち一条)とを天秤にかけながら読んだ。
ふっふっふ~
さてどっちに軍配があがったでしょうか~